さまざまなデザインの経験を活かす

私は大学時代にプロダクトデザインを学んでいました。最初はグラフィックデザインを学びたいと思っていたのですが、敢えてプロダクトデザインを専攻しました。正直、プロダクトデザインに興味があったというよりは、社会に出てしまうと経験しにくい専門性のあるものをやっておきたいという点が大きかったです。

プロダクトデザインはグラフィックデザインも包括しています。今ではグラフィックデザインは正直、誰でもやろうと思えば出来ますが、プロダクトデザインは、独学ではなかなかできません。

最終的にはCGや映像の方に興味があったので、プロダクトデザインの道へは進みませんでしたが、その時の考え方はかなり役に立っています。口酸っぱく言われたのは、問題点をどうやって解決するか、ということを前提としたコンセプトをしっかり考えることです。その上で機能性を備えつつ、造形美も考えるという作業をするのです。当時はリアリティを感じられなく、かっこいいデザインすればいいじゃないの、くらいにしか思えませんでしたが。。

コンセプトを決めてものを作るのは基本的なことですが、グラフィックデザインよりも、より現実的に具体的に現状を踏まえ、どのようにその問題点を解決していくか、何のためにそれを作るのか、ということが重要になってきます。プロダクトの場合、コストや制作過程なども関わってくるので、予め考えてないといけないというのもあります。これは、ホームページ制作などでも同じことです。何となく作ってしまってから直すのは手間がかかるので、すべてのデザインはいきなりPCに向かって手を動かし始めるようなものではないのです。

また、社会に出てからデザイナーとしてNHKでテレビのグラフィックデザインをやってきたことも役立っています。テレビの画面上で情報を見せるためには、伝えるべき文字情報を整理し、重要な部分は何なのかを判断した上でレイアウトをします。テレビは、その情報を流す時間(尺)が限られているので、一目で情報を伝えることを意識しないといけません。1画面で伝えられる情報に限度があるため、情報をどのように分割し時間軸を使ってどのように展開するかをディレクターさんと打ち合わせをした上で作ります。前後の映像のつながりや構成などももちろん意識します。

時間軸があまり関係のないWEBや印刷等のグラフィックデザインの場合でも、情報をやたら詰め込めばいいというものではないです。情報が整理されていないと見る前にげんなりしてしまうため、結果的にすべての情報を読ませられず、情報を伝えられない場合も出てきます。そのため、なるべく簡潔に重要な部分を伝えるデザインを意識します。
しかし一方で、理屈抜きの感覚的なデザインも必要なことがあります。タイトルなどのモーショングラフィックスなどの場合は、直感的な要素が大きいです。ロゴマークなどのデザインも、どのような印象を持たせるかという感覚的なセンスも重要です。

デザインで重要なのは、目的や役割を意識することですので、これまで経験してきたさまざまなデザインや表現の手法をそれぞれのデザインに活かしていきたいと思います。

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